田中雅美建築設計事務所
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MTAAについて



MTAAのRoots(ルーツ)

(fig.1) MTAAのルーツは、田中雅美が1981年の初秋に北欧フィンランドのある建築事務所の門をたたいたときから始まります。
(fig.1)
(fig.2) ある建築事務所とは20世紀近代建築の巨匠アルヴァ・アアルトの高弟であり、アアルト最晩年の記念碑的作品フィンランディアホール(fig.1)の担当建築家として著名なカルロ・レッパネン(fig.2)であります。
(fig.2)
(fig.3) 当時カルロ・レッパネン建築事務所は、ヘルシンキ中央に位置する大規模商業ビルやヘルシンキ市中央図書館(fig.3)などの設計を受託して、10人強のスタッフで精力的に業務を実施していました。
(fig.3)
(fig.4) 事務所は小規模ながらも活気があり、スタッフもフィンランド人のほか、スイス人、アメリカ人、スウェーデン人、日本人と国際色に富むものでした。(fig.4)
このような環境の中で田中は主に公共施設の設計に携わりカルロ・レッパネンから設計者として薫陶を受けました。
(fig.4)

また北欧特有の長い夏休暇を利用して3度に渡り北欧から南欧までの建築や民家、風景を見てまわりました。(fig.5)(fig.6)

(fig.5) (fig.6)
(fig.5) (fig.6)

このような1981年から1986年に帰国するまでの5年間の体験が、MTAAのルーツになっています。
この5年間の経験によって体得できたものとは、フィンランドのデザインや建築文化の底に流れる基本理念のようなものでそれは要約すると以下のようなものであると考えます。

①建築やデザインは人々の生活とともにある最も身近な存在である。(fig.7)
②機能性とデザインは表裏の関係にある。(fig.8)
③設計者は美しさを求めると同時に厳格な実務者でなくてはならない。

(fig.7) (fig.8)
(fig.7) (fig.8)
これら3点はどれも常識的で当然のことのように思われますが、日本の建築家像が華やかなスター性や斬新なデザイン性に象徴される土壌とは異なっており、デザインや建築が人々の生活の下支えをするという考え方だといえそうです。
田中は1986年の帰国後、MTAAの前身となる設計事務所を設立し建築設計の仕事を始め今日に至りますが、現在でもフィンランド人の建築家やデザイナーと親交を持ち、フィンランドと日本の文化的な架け橋である(社)日本フィンランド協会の監事も務めています。

MTAAのTrunk(幹)

一本の苗木が大樹に生長するためには、肥沃な土壌にしっかりと根を生やし太い幹を育てていかなくてはなりません。
MTAAの活動を一本の樹木にたとえるならば社会経済の中で求められるさまざまな業務は異なった部位の枝葉で行われているようです。
それぞれの部位は異なっていても、どれも建築を取り巻く広い社会経済の中で求められているものです。
社会の求めるニーズはどれも具体的で専門的な知識が必要とされます。(fig.9)

(fig.9)
(fig.9)


ところで現代日本社会を見わたせば私たちの人工環境は成熟しており、新しいものをつくりストックを増大させていく社会から、既に手にしたストックをいかにうまく生かしていくかという社会になりつつあるように思えます。
このような成熟社会の中で建築家の役割も多様化し、新しいデザインや建築を提供するばかりでなく既に構築された社会の基盤を下支えしていくような需要が生まれているのも事実でありましょう。

MTAAの業務を見ても新築建物の設計のほかに既存建物の調査や診断、保全のための中長期計画の立案や改修工事の設計などが求められてきています。
また、コンビニエンスストアーに象徴される「情報と物流の拠点」が私たちの生活の中心となりつつあり、それにともなって商品とディスプレー、建物が渾然一体となったロードサイドショップが膨大につくられています。これらはその成立過程が従来の建築とは異なり私たちのつくりあげた社会基盤の上をCF(コマーシャルフィルム)のように繰り返し現れ、商品イメージを構築していきます。

このように現代社会では建築を取り巻く業務は多様でありそれぞれが際立った特長をそなえ専業化や分業化が進んでいます。先端的な技術や経験が必要とされる場合も多くそれぞれにあったソフトウェアーが必要と考えられます。

それでは、MTAAの幹とは何でしょうか?模式図(fig.9)からもわかるとおり、細分化され多様に専門化した業務を束ねる幹をなす部分と考えることができます。
どんなに枝葉が繁茂してもそれぞれに脈絡やネットワークがなければ、これらを支え深めることはできません。繁茂した枝葉を取りまとめ整理し道筋を見つけ深めるには、これらを束ねている太い幹が必要であることは言うに及びません。いわば建築の成り立ちや価値を理解し解析していくハードウェアーと考えることもできます。
この部位を太く育てていくとは、「建築を知っていくこと」「社会を知っていくこと」に他なりません。これは、「社会と人間」、「人と建築」が総合的に関係しあう設計活動を通して一つ一つ時間をかけて理解を深め養っていくしかありません。

一方現代社会は技術革新と情報化が進んだ社会であり、新しい人材や先端的な研究が求められています。
このためには大学との連携が有効と考えられます。田中は平成5年から複数の大学で非常勤講師として教鞭をとり若い人材の教育にも関わってきました。これらの経験も幹を育てることに貢献していると考えています。
建築を取り巻く社会は多様で実践的なソフトウェアーが数多く求められていますが、これらを運用するためには、それらを機能させる強固なハードウェアーが必要なのです。設計活動や教育活動は私たちMTAAの建築的な潜在能力を鍛え、あらゆる建築的な問題に対応できる基礎的な体力を身につけるものと考えられるのです。